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30種類のスパイスを使ったカレー、 その30種類とは? 前編

30種類のスパイスを使った本格カレー、みたいな文言は世の中に溢れかえっている。
日本人にとってはいまだにスパイスは得体の知れない魔法の秘薬みたいなイメージがあって、それがいろいろたくさん入っていればそれだけで有り難みがある、と感じる人も多い事だろう。
また、それらを駆使して「調合」するのは高度な専門知識に基づく物だから、これはそんじょそこらで食べられるカレーとはわけが違うのだ、というイメージもあるかもしれない。

先にはっきり言ってしまうとそれはいずれも誤解である。

カレー屋というのはありがたい事に雑誌などのメディアに取材してもらいやすい業態である。
特に夏前になるとタウン誌やグルメ誌ではお約束のようにカレー特集が組まれる。
そういう取材で必ずと言っていいほど聞かれる質問がある。
「スパイスは何種類くらい使われてるんですか」?
カレーの種類によっても違いますが多めの物で10前後ですかね、と答えるとあきらかにがっかりされるのが毎度の事である。

質問は他にも
「こちらで一番辛いのはどれですか?」
「このラッサムですかね。」
「スパイスもいっぱい使われてるんですよね!?」
「まあ多いといえば多いですかね」
「何種類くらい、、、」
「4種類ですね」
「・・・・・。」

「カレーはだいたいどれくらいかけて煮込まれてるんですか?」
「物にもよりますがだいたい20分てとこですね」
「・・・・・。」

そこそこ専門的な食関連専門誌のライターさんは別として、だいたいのライターさんや制作会社さんは、
「本格的なカレーとは辛くてたくさんのスパイスを使って長時間煮込まれているものだ」
と思い込んでおり、その勝手な解釈の物語の中で取材をまとめようとしたがるのである。
毎年カレー特集を組む割には何年たってもそのあたりを学習しないのは不思議だが、それだけこの固定観念は日本において根強いという事だろうか。

「庖丁人味平」というグルメ漫画がある。
グルメ漫画の歴史を美味しんぼ以前と美味しんぼ以降に分けるならば、美味しんぼ以前で最も有名な、言うなれば昭和グルメ漫画の金字塔である。
この庖丁人味平のカレー勝負編に鼻田香作というキャラクターが登場する。
鼻田香作は世界中の何百種類というスパイスを知り抜き、その敏感な嗅覚を守るために常に鼻だけを覆う黒いマスクをかけている。
もうその設定だけでもお腹いっぱいの感があるのだが、この鼻田、(たかがデパートのお好み食堂の)カレーを開発するために研究室にこもり何百ものスパイスの調合に没頭、挙げ句の果ては麻薬成分を含む禁断のスパイスに手を出してついには廃人になってしまう。
馬鹿馬鹿しいと笑うかもしれないが、「スパイス30種類」がカレーのアピールポイントになり得る世界観というのは結局ここから未だに半歩も抜け出してはいないのである。
つまり、得体の知れない秘薬であるスパイスを「調合」するマッドサイエンティスト、というイメージだ。

というわけで次回は、巷に溢れるスパイス30種類のその30種類が具体的に何なのかを推定してみようと思う。
おそらくこの作業、12、3種類を特定するまでは良いとしてその後は加速度的に馬鹿馬鹿しさを増して行くと思う。
あまりの馬鹿馬鹿しさに読むのを途中でやめたくなるだろうと思う。
そもそも私が最後までこの馬鹿馬鹿しい作業を継続できるか今この段階ですでに不安である。
そしてその馬鹿馬鹿しさこそが、30種類のスパイスを使ったカレーそのものの馬鹿馬鹿しさの正体なのである。
では次回、いよいよその馬鹿馬鹿しくて不毛な作業に取り掛かろうと思う。

ちなみに私は今すでに半分後悔している。



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イナダシュンスケ

Author:イナダシュンスケ
業態開発とメニュー開発を中心に飲食店の雑用全般。enso / Erick south / Erick curry などなど。
ただしこのブログは完全プライベートであります。
偏り気味の食文化論、役に立たない食べ物ウンチク、飲食店の愉快でトホホなリアルライフ、そしてたまにはヒット数稼ぎの阿漕なレシピ公開、好きなものを好きと言うだけの中身の無い雑談、などをだらだらと垂れ流す予定です。
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